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MD-Farm、イチゴ栽培特許をめぐる訴訟で勝訴 東京地裁がOishii Farmの請求をすべて棄却

MD-Farm、イチゴ栽培特許をめぐる訴訟で勝訴 東京地裁がOishii Farmの請求をすべて棄却 スタートアップ

イチゴの植物工場を軸に総合ソリューションを手がけるMD-Farm株式会社(本社:新潟県新発田市、代表取締役:松田祐樹)は、Oishii Farm Corporationから起こされていた特許権移転登録手続等請求事件について、2026年10月29日に東京地方裁判所で判決が言い渡されたと明らかにしました。判決では、Oishii Farm側による特許権の移転登録などの請求がすべて棄却されました。同社は今後、知的財産の適切な管理を続けながら、資金調達と事業提携を進めていく方針です。

イチゴの「連続開花技術」の特許の帰属が争点に

今回の訴訟で争われたのは、MD-Farmが保有する特許第7551158号(発明の名称:イチゴの栽培方法)の権利が誰に帰属するかという点です。この特許は、イチゴの連続開花技術に関するものです。Oishii Farmは、この特許の移転登録などを求めてMD-Farmを提訴していました。

  • 事件名:令和6年(ワ)第70618号 特許権移転登録手続等請求事件
  • 裁判所:東京地方裁判所
  • 原告:Oishii Farm Corporation
  • 被告:MD-Farm株式会社
  • 対象特許:特許第7551158号(発明の名称:イチゴの栽培方法)
  • 判決言渡日:2026年10月29日

反訴の一部も認められ、信用毀損行為を認定

本訴の請求がすべて退けられたことに加え、MD-Farmが起こした反訴についても一部が認められました。裁判所は、Oishii Farmが自社ホームページに掲載した発表文について、不正競争防止法2条1項21号の信用毀損行為にあたると判断しました。そのうえで、判決で特定された事実を第三者に告知または流布することを禁じ、MD-Farmに対して220万円と遅延損害金を支払うよう命じています。

裁判所が示した判断の理由

裁判所は認定した事実関係を踏まえ、松田氏がOishii Farmに在籍していた間に本件発明を着想・具体化し、完成させたとは認められないと判断しました。松田氏が技術情報を持ち出したり流用したりしたことについても、認めることはできないとしています。さらに、Oishii Farmが問題の発表文を掲載するにあたっては少なくとも過失があったと認定し、その内容がMD-Farmの営業上の信用を害するものだと結論づけました。

通年安定生産を支える技術と知財戦略

従来のイチゴ栽培は、季節や気象条件といった自然環境に大きく左右され、生産時期や供給量が変動するという課題を抱えています。MD-Farmはこの課題に対し、栽培環境を人工的にコントロールする完全閉鎖型植物工場の研究開発に取り組んできました。今回の対象となった連続開花技術は、イチゴの生理学的な特性に着目し、長期間にわたる継続的な収穫を目指す栽培方法に関するもので、同社が推進する通年安定生産システムを支える重要な技術の一つと位置づけられています。

同社は栽培技術だけでなく、LED照明、専用栽培棚、栽培ポッド、環境制御技術、搬送・収穫の自動化といった植物工場の運用に欠かせない要素技術を組み合わせ、効率的で再現性のある生産システムづくりを進めています。2018年の創業以来、実証と改良を積み重ね、2024年には農林水産省の中小企業イノベーション創出推進事業(SBIR事業)に採択されました。現在は山形県南陽市の統合実証工場で、各要素技術の統合と運用実証を行っています。

知的財産については創業当初からその重要性を認識し、研究開発と並行して確立・管理を進めてきたといいます。同社が目指しているのは、単にイチゴを生産することではなく、栽培の専門家が培ってきた経験やノウハウをデータ化し、誰でも一定の品質と生産量を再現できる仕組みをつくることです。植物工場の設備に加えて、栽培環境や養液管理などのデータをクラウドで管理し、運用の標準化や技術・ノウハウの適切な管理につなげています。こうした設備・技術・運用ノウハウを組み合わせた総合的なソリューションを提供し、イチゴの安定生産を可能にする仕組みそのものを事業化して、国内外への展開を図る考えです。

シリーズB調達や協業強化で事業化を加速へ

MD-Farmは、完全閉鎖型植物工場を中核に、生産から物流・販売までを見据えた新たな食の産業モデルの構築を掲げています。イチゴを消費地や食品加工拠点の近くで通年生産できる体制を整えることで、食品メーカーや流通事業者などの安定調達を支える新たな事業モデルの実現を目指しています。実証で得た知見を事業化につなげるため、今後は次の取り組みを進めるとしています。

  • 植物工場システムの事業展開と事業基盤の強化に向けたシリーズB資金調達の推進
  • 設備製造や工場建設などのニーズに対応するため、大型樹脂成形設備に対応できる企業や工場建設のパートナーなど、新たな協業先の確保
  • 人材採用による、開発・製造・運用を含む事業推進体制の強化

同社はフィジカルAIやロボティクス、クラウドによる栽培データ管理などを活用し、農業の経験や自然条件への依存を軽減する生産システムの構築を進める方針です。イチゴの安定生産を起点に、食の生産・供給のあり方を再設計する「AgrI-DX(アイダックス)」の実現を掲げています。AgrI-DXは同社が提唱する、農業でも工業でもない新しい産業カテゴリーで、農業の生産技術とAI・ロボティクス・流通を統合し、生産から流通までを一体で捉えることで、新たな産業の創出を目指すものです。

代表取締役の松田祐樹氏は、請求がすべて棄却されたことについて、同社の主張が裁判所に認められたものと受け止めているとし、今回の判決を一つの大きな節目と考えているとコメントしました。訴訟では身に覚えのない事柄や実際にはなかったと認識している事柄を主張されて大きな困惑を覚えたこと、対応に多くの時間を費やして本来注力すべき技術開発や事業活動に影響が出たことに強い憤りを感じていることも明かしています。そのうえで、今後は本来の事業活動に一層注力し、資金調達や協業体制の強化を進めながら、イチゴの通年安定生産を実現する技術と仕組みを広く社会に展開していきたいとの考えを示しました。

出典:MD-Farm株式会社

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